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経路探索から考える分かり易さと複雑さ

2016-09-27 (Tue) / カテゴリー:実験

今日は弊社の自社開発中のアプリの主な着想になっている、出来事と考え方についてご紹介します。


1.経路探索から考える分かり易さと複雑さ

弊社代表の本田の大学院における研究は、経路探索に基く「空間の分かり易さ」でした。

既存施設での現地実験と、
CAVEでVR再現したコンテンツ内での実験の比較から、
形態やサインの価値を評価し、分かり易さとして構築するもので、

CAVEシステムのVRコンテンツとアイトラッキングプログラムを連携させた開発も行っていました。


<CAVEシステムでの実験の様子>


豊橋技術科学大学渡邉先生の空間探索研究は、経路探索を視認行為と関連付けた多数の公共施設での被験者実験実施した研究で、
初期には東大の原先生や当時原研で現東洋大の日色先生らの経路探索研究にも参照し合う等、経路探索研究の独自性を見定め、
後期にはCAVEシステムも導入して視線分析デバイスも用いた連綿とした研究で建築学会論文賞を受賞した内容でした。


2.空間構成と分かり易さの構築

サイン計画を行う際には、個別の体験(定性)と空間構成の標準化(定量)のせめぎあいになります。


<T病院の被験者5人の探索経路のフローチャートと経路図>:個別の体験を定性⇒定量の経過
※本田司等:「3次元立体視映像装置を用いたT・O総合病院の分かり易さ改善手法の構築」より



<営団地下鉄サインシステム・フローチャート>:標準化されている駅サインの模式
※赤瀬達三:「駅をデザインする」より

形式化した空間は独自性を高めると複雑化し、
建築空間に加えバーチャルな空間が混ざっている、
現代の社会において、それらに追従できるような分かり易さの随時の構築は、
今後も非常に重要な命題です。


3.ユーザーの探索の複雑さと豊かさ

分かり易さを考える研究の一方で、
日々の体験とのギャップを考えることがありました。
目的的な体験よりも、発見的な状況(フレームの拡張)に、
心奪われる瞬間が、誰でも経験しているものではないかと思います。

例えば以下の表は、
経路探索の研究における成績上位者と成績下位者において、
認識したランドマークの差を示したものですが、
成績下位者の方が豊かな情景をコメントしている印象を受けます。


<迷いやすい人と迷い難い人の検出要素の違い>
※新垣紀子等:「方向オンチの科学」より

目的的でない、分かり難さ・複雑さにも、
豊かさがあるのではないかと考えていくに至りました。


4.ユーザーを測り分かり易さと複雑さを横断する

分かり易さと複雑さを考えていくためには、
具体的にユーザーを測ることが必要で、
また、その活きた認知を如何に扱うかがポイントになると考えています。

そのために、ユーザーを測るツール・探索を制御できるツールが必要と考え、
現在、BtoB、BtoCユースとしての開発に取り組んでいます。