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心的トポロジーについて

2016-04-19 (Tue) / カテゴリー:MentalMap,心的トポロジ

今回は当社が心的トポロジーと名付け構築してきている独自概念を、
その特徴や、実験の重要性、AI化の可能性等も含め、ご紹介します。


1.心的トポロジーの着想から発展経緯

当社では、
心的トポロジーと名付けた概念を、以下のように定義しています。
「人が風景で感情の抑揚を得る心理位相幾何学」


<心的トポロジーの概念図>
Geocreates作品「観性の建築」
(日本建築学会アルゴリズミックデザイン小委員会等主催 形態創生コンテスト 2012 入賞案)より


この心的トポロジーの着想は、3D没入型のツールCAVEでの被験者実験・研究経験でした。
CAVEが設置されている研究棟に連日入ることで気付きを得ました。


<CAVEでの実験の様子>

所属ゼミが独自開発したアイトラッキングとの連携ツールも伴い、
眼や身体のセンサリングによるデータを常時確認していることで、
「身体が空間に誘引される瞬間」を捉えられる着想に至りました。

その後領域横断的に表彰頂きながら発展させています。


2.類似概念

2-1.野生の科学

同様の考えは、中沢新一さんが「野生の科学」の中で、
トポサイコロジーとして挙げられているものと同種のものと考えています
(2016年度冬季HCD研究発表会でも紹介させて頂きました)。

<野生の科学:中沢新一著>

この本の中で中沢さんは、精神分析の領野での専門家からもヒアリングしつつ、
モデルとしてトーラス等を編集しながら、トポロジー、トポサイコロジーについて論じています。

位相空間は数学的に記述可能ですが、
中沢さんも挙げているように、その関係性は個人個人で異なります。
その個別のユーザーの扱い方自体のモデル化が必要になります。



<アースダイバー:(左)、雪片数学論:中沢新一(中)、建築の大転換:伊東豊雄・中沢新一著(右)>

中沢さんの言説では、アースダイバーが業種問わず広く有名ですが、
雪片曲線論等、数学理論の延長上で、哲学領野等との接点を様々に探っておられ、

建築領野では、伊東豊雄さんや、私のインターン先だった平田晃久さんが、
よく挙げられており、対談イベント等も開催されています。


2-2.位相と哲学

更に哲学や精神分析にアプローチを深めると、
・K.レヴィン
・J.ラカン
・H.ベルクソン
ら位相空間、空間、時間を扱う海外の哲学の大家等の理論も参考になります
(当社では哲学系のメンバーとも協議し研究開発を進めています)。


<ラカンのトポロジー>

各者と出自や手法が異なるため、
どのような差異があるのかを十分に比較・理解しながら、
領域横断的な概念として、十分な熟成を進めています。


3.AI化への難しさ



<心的トポロジーの概念図>
※Geocreates論文「建築の分かり易さと複雑さ~その1~」より

心的トポロジーの分析には、以下の2点を考慮します。
・構図(ジオメトリー)
・視認の型(人間の入力)

構図のみであれば、
ニューラルネットワーク、ディープラーニング等によるAI化が推進可能ですが、

関連する視認の型を伴うため、
入力側の自動化と連携させていく必要がある点に難しさがあります。

一方で、その点が、人間の豊かさを理解していくプロセスにもなると考えています。


4.実験方法の開拓

当社では、アイトラッキングを中心にアプローチし(脳科学との複合も考慮しています)、
UXD、HCDの各手法やプロセスや、シングルケースの実験手法にも着眼しています
(当社ではUX系や医療系のメンバーとも協議し研究開発を進めています)。


<リサーチデザイン、新・100の法則(左)、一事例の実験デザイン(右)>


また、将棋AIと関連付けた研究や議論も、参考にしています。

「直観的な戦略決定を行う脳のメカニズムを解明」:理化学研究所
http://www.riken.jp/pr/press/2015/20150421_1/

人間を超えたアルファ碁(AlphaGo)は、どのようにして強くなったのか
:囲碁プロ棋士大橋拓文 /将棋ソフトPONANZA開発者 山本一成

https://cakes.mu/posts/12685


出身ゼミや、これまで定期的に行っている自社実験による蓄積から、
特徴的な視認を、時間・空間・感情、を伴って定義を続け、
自律的な概念化の可能性も継続的に探究を続ける方針です。


5.認知とIoTの接続

哲学や精神分析を伴う考えは、従来から各所で実験研究は行なわれているものの、
工業化を推進するために標準化が重視されることもあり、
具体的なアウトプット、デジタルデザインとの親和性は高くありませんでしたが、

今日では、個別に最適化するIoTの志向性
(マスカスタマイゼーション、マスパーソナライゼーションと言った概念)
の推進も著しいため、具体的な入出力としての連携体制が発展し、応用し易くなってきています。


ユーザー個別のトポロジーに踏込むことは、
ユーザー個別の思考や精神分析等にまで踏み込まざるを得ませんが、

当社では、そこに開拓と大きな発展の余地を見出し、
AI等も考慮しながら、工学として落とし込んでいく考えで、研究開発を進めています。